題名:ビックリデータ時代の宇宙規模的な世界観
報告者:ナンカイン
今まさにどんどんと増加するインターネット上の情報は、宇宙の星の数と同じような状態であろうか。宇宙空間にある一つの恒星・惑星、あるいは、彗星などを考えると、現在の宇宙空間上に存在するそれらは、数をカウントすることができないほど無数にある。正確にカウントすると、ある数に落ち着くかもしれない。しかしながら、その間に生まれつつある恒星・惑星や、はるかかなたに移動しつつある彗星なども含めると、結局はカウントする間に数が変わってしまい、正確な数を保てない。同じようにして、インターネット上のサイト・ブログ、SNSのすべてのコンテンツも含め、日々膨大にアップされる情報は、次第に混沌とし始め、今やコンテンツの数は、宇宙空間の星の数にも匹敵するかもしれない。そのような、膨大なインターネット上の情報を活用して、それを解析して、ビジネスに役立てることが、近年では盛んに行われている。その元となるデータは、ビッグデータと言われ1)、アマゾンやグーグルといった巨大なインターネット関連企業が、そのビックデータを扱う旗手でもある1)。また、活用・解析するだけでなく、それらをThings(もの)に連動させて、Thingsをインターネットに介して自在に扱えるような技術をIoT (Internet of Things)と呼んでいる。ビックデータもIoTも、今、最もホットなトレンド的キーワードである。しかしながら、いくらトレンドと言えども、混沌として星の数ほど増えつつあるすべてのコンテンツを隅から隅まで解析することは、やはり限度があるに違いない。銀河系やアンドロメダ星雲など、ある単位でのまとまりのあるコンテンツならば、正確な解析は可能ではあろうが、宇宙のかなたにある彗星や惑星は、活用・解析の対象から外さないことには、どれぐらい計算処理が早くなろうとも、膨張する宇宙のスピードには追いつけない。
松岡氏曰く、「ビックデータ時代」を「めちゃんこデータの交錯時代」と分かりやすく名付けている2)。筆者があえて名付けると、「ビックリデータ時代」としたい。なにが入っているか分からない蓋をあけると、ぼぼぼーんとピエロの人形が飛び出して、何も意味はない、ただのビックリ箱(図)のようなデータと成り得る可能性を、ビックデータは秘めているからである。人工知能はついに囲碁で勝利したが(No.163)、はるかかなたの惑星で行われている異星人のゲームには、何億年経とうとも、昨今の人工知能の技術と言えども、勝利はできない。そのため、ビックデータを扱う際には、ある単位での”うまい”枠組みが必要となる。これが、松岡氏による仮説や物語となるのであろうか2)。
一方、前述したIoT(hings)も、映画「遊星からの物体X」(原題:The Thing)の如く、制御不可能なThingsと成り得ることをも意味している。制御する側が、ビックリ箱のピエロであったならば、Things
図 ピエロのビックリ箱3)
は、まさにThe Thingとなり、そのThe Thingの舞台が映画「遊星からの物体X」と同じく、南極だけであればよいが、IoT(hings)の舞台は、幸か不幸か、人の住む地域全体である。
1) 村上憲郎: SNSとIoT(Internet of Things)が切り拓く,ビッグデータ2.0の世界. 情報管理 56: 71-77. 2013.
2) 松尾正剛: 千夜千冊 1601夜 ビックデータを解析せよ. http://1000ya.isis.ne.jp/ (閲覧2016.3.7)
3) http://thumbs.dreamstime.com/z/jack-box-28086790.jpg (閲覧2016.3.7)