題名:オリーブの起源とその栽培の歴史
報告者:エゲンスキー
オリーブの起源は古く、古代メソポタミヤ文明まで遡れる1)。そのメソポタミヤとは、ギリシア語で”川と川の間の地”を意味し、メソポタミヤ文明はティグリス川とユーフラテス両河流域にあった世界最古の文明である2-3)。現在では中近東のイラク地方にあたる地域に存在していた。そこに自生していたのが、オリーブの起源にあたり、その当時のオリーブはまだトゲがあり、油分の少ないものであった4)。それが改良され、紀元前2600年頃にクレタ島を中心に栽培されるようになったのが、現在のオリーブに繋がる。
クレタ島ではこのオリーブを収穫・販売・輸出する文明が栄え、それがミノア文明の礎となる1)。ミノア文明は別名クレタ文明とも言い、突然に崩壊した今でも謎の多い文明であるが5)、その当時に栄えたクノッソス宮殿にある壺は、現在でもクレタ島で製造される壺の原型ともなるであろう(No.79)。クノッソス宮殿にある壺を図に示す。現在販売されている素焼き鉢のAmforeasと比較してみれば分かるが、非常に類似している。この宮殿における神々の一人は、オリーブの樹をシンボルとした女神であることも知られ1)、このことから、ミノア文明におけるオリーブは、生活の礎としてだけではなく、信仰の対象でもあったことも伺われる。
オリーブの植物的特性として、日当たりがよく温暖で、雨量が比較的少なく、年間の平均気温が15~22度程度の場所であれば露地栽培ができる1, 4)。ミノア文明でオリーブ栽培が盛んとなったのは、上記の気候条件が適していたからに他ならない。このミノア文明でのオリーブ栽培が、その後、スペインやイタリアにもオ
図 クノッソス宮殿にある壺6)
リーブが広がるきっかけとなり、現在のオリーブ栽培は、生産はほぼ98%は地中海沿岸に集中し、スペイン、イタリア、ギリシアの三国だけで世界の栽培面積の50%強となる4)。しかしながら、短期間であるならばマイナス10度までの寒さに耐えることができるため、日本でもやや寒い地域でも露地栽培ができる。
日本の店頭に販売されているオリーブの樹の品種として多いのは、スペイン原産の「ネバディロ ブランコ」、「マンザニロ」、イタリア原産の「ルッカ」、アメリカ原産の「ミッション」になるが1)、これらは比較的日本でも育てやすい品種である。これらオリーブを栽培しながら、その歴史に触れるのも一興となるであろう。
1) 岡井路子: 育てて楽しむオリーブの本. 主婦の友インフォス情報社. 2014.
2) http://www.kobemantoman.jp/sub/31.htm (閲覧2016.1.24)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/メソポタミア (閲覧2016.1.24)
4) オージック, ダニエラ: 南イタリアの家庭料理. 保健同人社. 1994.
5) http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/hi_03_02.html (閲覧2016.1.24)
6) http://155.97.32.9/~rstewart/WebOfMyth/MinoansPowerpoint.html (閲覧2016.1.24)