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題名:David Bowieの表現者としての生きざま
報告者:ゴンベ

 この10日に、イギリスのアーチストの一人であるDavid Bowieが残念ながら他界した。享年69歳であった。死因は癌であった。この69歳という年齢が、アーチストにとって早い死であるのかは分からない。しかしながら、この死を悔やむ人は多いに違いない。なぜなら、彼の69年間の人生は、間違いなく多くの人に影響を与えたからである。著者もその影響を受けた一人である。
 彼の偉大な点は、音楽に留まらず、俳優や舞台に渡る全ての活動がアートであり、その幅広さは類を見ない。最も活動の中心であった音楽から、一般的にはミュージシャンとして位置付けられているが、その活動の根底を覗くと、ミュージシャンというよりも実は表現者に近い。その起源は、かの名曲”Space Oddity”1)が発表される1969年以前に遡ることができる。Bowieの多くのファンには周知のことであるが、彼は”Space Oddity”で有名になる前は、パントマイマーであるLindsay Kemp主催のリンゼイ・ケンプ・カンパニーに1967年から1968年に渡って所属している。2人が出会った当時は、David Bowieではなく、David Jonesとして活動していたが、鳴かず飛ばずの状態であり、Bowieは音楽業界をやめようと思っていた時期でもあった2)。すなわち、BowieがKempに出会っていなければ、偉大な表現者は生まれてはいなかったかもしれない。そういう意味で、Bowieの真の師は、パントマイマーのKempであることが分かる。
 そのKempと共同で実施した「トルコ石のピエロ」という20分ほどの小さな芝居が、1972年の「Rise & Fall of Ziggy Stardust & Spiders From Mars」というBowieの初期の黄金期となるアルバムを生み出すきっかけともなる2)。そこには、男性や女性と言った性を飛び越え、Bowieは異星から来たZiggyへと変身する。
 Kemp曰く、表現とは、

「いかに自分を気持ち良くするか、素敵に生きるか、そしていかに自分を膨らませるか」

である2)。まさにZiggyという表現をその当時のBowieは手にしていた。後年、KempはBowieの活動に対して、私の表現者としての大衆に問うた理想の形がBowieであるとの内容を告げている3)。このことから、David Bowieはただの一ミュージシャンではなく、明らかに表現者と言えよう。彼が亡くなったことは非常に悲しい事ではあるが、図に若かりし日のBowieの写真を示し、この報告書を天国にいるBowieに捧げたいと思う。

11730

図 若かりし日のBowie4)

1) https://www.youtube.com/watch?v=iYYRH4apXDo (閲覧2016.1.12)
2) 橋本ユキ, 北折智子: スピリット・ダンシング リンゼイ・ケンプの世界. 晶文社. 1988.
3) 出典不明
4) http://amass.jp/61246/ (閲覧2016.1.12)



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