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題名:なめこのとろとろの成分について
報告者:エゲンスキー

 なめこはとろとろしている。そのため、名前もなめと付いているのであろう。スーパーなのでよく見かけるキノコは、しいたけ、しめじ、えのき、なめこ、エリンギ、まつたけ(その時節のみであるが)などになろうが、これらの中でとろとろしているのは、なめこ以外に見当たらない。
 自然環境にある多くのキノコは、食用ではなく、毒キノコとなる1)。その毒キノコの中には、なんとなく滑っているタイプもある。しかしながら、いずれのキノコもなめこほどの滑りがなく、滑りのあるキノコの中では、トップ10に入るかと思われる。この毒キノコの見分け方で、色が派手なものは毒、それ以外は毒なしと思われてはいるが、実は色的には地味でも、毒をもったものも少なくはない2)。また、その他に「縦に裂けるキノコは食べられる」、「匂いの良いキノコは食べられる」、「虫が食べているキノコは人間も食べられる」といった見分け方も巷ではよく聞くが、これは何の根拠もない迷信であることが分かっている2)。
 ここで、キノコそのものについておさらいすると、キノコは実は植物には分類されない。菌類に属し、生物的にはカビと同じような仲間である。また、子孫を残す方法も、種ではなく、胞子という生殖細胞が担っており、通常のキノコであれば、キノコの傘の内側のひだの部分にそれが存在している。図にキノコの主な構造と名称を示す。これを見ると分かるが、キノコの棒にあたる部位も茎ではなく、柄(え)といい、内部に維管束などの構造がないため、植物のように茎とは呼ばないこともキノコの特徴の一つである。

図 キノコの主な構造と名称3)に補足

 ここで、本題のなめこのとろとろの成分であるが、これはゼラチン質の粘性物質のムチン(*)である。このなめこのムチンは、細胞の保護や潤滑物質としての役割を担い、保水性も非常に高い5)。また、コレステロールや発ガン物質の排泄を促し、食物繊維の働きによる整腸作用や免疫力増強などの効果もあると言われている6)。なめこのとろとろは、実は只者ではない物質だったのである。
 かつての家庭でのキノコ栽培は難しく、原木に穴をあけ、それに駒菌を植える方法が主であり、その手続きの大変さもさることながら、原木を置くスペースも必要で、容易ではなかった。しかしながら、近年はキノコの家庭での栽培キットも販売され、しいたけ栽培キットだけではなく、なめこ栽培キットも販売され、家庭でも簡単にキノコを栽培することができるようになった。このキットなどを利用してキノコ栽培すると分かるが、明らかに植物と異なる性質があることが、生長するキノコに観てとれる。これが非常におもしろい。
*:ムチンについては筆者側の見識に誤りがあった。正しくは、ムチンは動物界だけに存在し、植物やキノコ類には見いだされていないのが現状である7)。

1) 保坂健太郎: きのこの不思議. 誠文堂新光社. 2012.
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/キノコ (閲覧2015.12.15)
3) http://azukichi.net/season/autumn/autumn0449.html (閲覧2015.12.15)
4) https://ja.wikipedia.org/wiki/ナメコ (閲覧2015.12.15)
5)https://ja.wikipedia.org/wiki/ムチン (閲覧2015.12.15)
6) http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/nameko/ (閲覧2015.12.15)
7) https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9701/9701_kaisetsu.pdf (閲覧2020.8.7)



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