題名:Les Disques Du Crépusculeの衝撃
報告者:ゴンベ
Les Disques Du Crépusculeはベルギーにあるインディーズの音楽レーベルで、日本語ではCrépusculeだけを取り、カタカナでクレプスキュールと称される。ちなみにCrépusculeはフランス語では黄昏の意となり1)、Disquesは円盤の意となることから、Les Disques Du Crépusculeを訳すと、黄昏の円盤の意となる。ただし、円盤はUFOではなく、レーベルの設立が1980年になることから2)、当時の音楽の媒体であるレコードのことを指す。黄昏レコードたるその愛らしいネーミングから、レーベルを設立したジャーナリストのDuval HonoréとAnnik Honoré、およびデザイナーのBenoît Hennebertのセンスの良さが伺われる2)。図に初期のころのコンピレーションアルバムのジャケットの裏表を示す。アルバム名は「The Fruit of the Original Sin」で日本語では「原罪の果実」となり、ジャケットデザインだけでなく、アルバム名のネーミングもとても優れている。ディスク2枚の構成で、全体的に音楽と言うよりも実験的な内容も多いが、初期のLes Disques Du Crépusculeを知るにはよいアルバムである。初めて聞くといささか衝撃的ではある。
レーベルの代表的なアーチストは、やはりIsabelle Antenaになろう。彼女の代表作は、ボサノバの代表として名高いStan Getz & Joao Gilbertoのアルバム「GETZ/GILBERTO」のイパネマの娘をエレクトリックにアレンジした曲を含む「Camino del Sol」をはじめとして数多くある。ただし、日曜の昼下がりなど、ゆったりしたのんびりとした雰囲気を楽しむには、「Hoping for Love」もお勧めである。このアルバムはエレクトリック主体よりも、円熟したジャズミュージシャンをバックに、軽快なフランス語で歌うIsabelle Antenaのよさがにじみ出ている。彼女の声はとても透き通っているため、聞き取りやすくフランス語を勉強している人にもお勧めできるかもしれない。演奏にもそこはかとない、おフランスな感じ、もにじみ出ている。
このようにしてインディーズレーベルのよさは、設立者のセンスが反映しやすいことにある。そのため、そのセンスが気に入れば、他にない無二の存在となる。しかしながら、大手レコード会社に比べてごく小さなレーベルであることが多く、存在そのものを知らない人も多いであろう。そこがインディーズのよい点でもあり、レーベルの経営上、難しい点でもある。
図 「The Fruit of the Original Sin」のジャケット3)
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/クレプスキュール (閲覧2015.12.2)
2) http://lesdisquesducrepuscule.com/history.html (閲覧2015.12.2)
3) http://lesdisquesducrepuscule.com/fruit_of_the_original_sin_ltmcd2497.html (閲覧2015.12.2)