題名:Vivian Maierの真の才能とは
報告者:ログ
生前は有名でなくとも、死後に有名になる人がいる。絵画ではVincent Willem van Goghがその筆頭に挙げられるであろう。Goghの生前に売れた絵は1枚だけとされ、1891年の展覧会でようやく彼の偉業に陽が射した1)。現在、Goghのことを知らない人はほとんどいないに違いない。同じくして女性のストリート写真家であるVivian Maierも生前は有名ではなかった。有名となったきっかけは、2007年に開催されたオークションで、シカゴ在住のJohn Maloofが大量の古い写真のネガを手に入れたことに端を発する。彼はそれをフリッカーにアップし、大きな反響を得た。これを機にカルチャーセンターでの展示を経て、大手メディアでも取り上げられるまでとなり、彼自身で「Finding Vivian Maier」というドキュメンタリー映画3)の監督をし、今では彼女のキュレイターとして活躍している4)。彼の活躍の裏には、Vivian Maierの写真にはとても魅力があるという証でもある。
ここで特に印象に残ったVivian Maierの一枚の写真を図に示す(http://www.vivianmaier.comのサイトから)。その他の写真もそのサイトから確認することができる。同じくストリート写真家ですでに有名であるElliott Erwitt6)の写真もむろん素晴らしい。しかしながら、2007年以前はほとんど無名であったVivian Maierであるが、Erwittに並ぶほどの素晴らしい写真も散見される。なぜこれほどまでに素晴らしい写真を撮れる写真家が、近年まで全くの無名であったのであろうか?
彼女の生涯を追うと、そこに彼女の特異性が見えてくる。乳母や介護者として働き、生涯に150000枚以上の写真をとったとされるが、その写真はすべて未発表で、プリントもされることがなかった7)。また、お金が入っても生活費に充てるよりも、写真を撮るた
図 Vivian Maierの一枚の写真5)
めに、その費用を世界旅行に費やし7)、まさに写真を撮ることに取り憑かれていた姿が浮かび上がる。なぜ写真を撮ることに彼女が取り憑かれていたのかは、亡くなった今となっては不明だが、彼女の写真には、観る側も何かに取り憑かれるような印象を芽生えさせる。彼女の真の才能はそこにある。
1) http://matome.naver.jp/odai/2134095563737622101 (閲覧20153.11.25)
2) http://dotplace.jp/archives/19850 (閲覧20153.11.25)
3) http://vivianmaier-movie.com/ (閲覧20153.11.25)
4) http://dotplace.jp/archives/tag/ジョン・マルーフ (閲覧20153.11.25)
5) http://www.vivianmaier.com/gallery/street-2/ (閲覧20153.11.25)
6) http://www.elliotterwitt.com/ (閲覧20153.11.25)
7) https://en.wikipedia.org/wiki/Vivian_Maier (閲覧20153.11.25)