題名:家づくりにおける1.3~1.8回の経験から得られる知識
報告者:エゲンスキー
家づくりはとても大変である。それは、設計のような平面図から、具体的な家という立体造形を作りだし、さらにそこに居住としての価値が必要とされるからである。価値が必要とされることから、居住する予定であるあらゆる人の意見もまとめた設計でなければならない。仮に、この居住する人が新婚の夫婦、もしくは婚約中のカップルであれば、もともとの生活のバックボーンが異なるために、家づくりに対する意見の衝突も大いにありうる。そこでお互いの意見に歩み寄りながら、どこかで家づくりに対する価値の折り合いをつけなければならない。意見の対立だけならまだしも、それ以上に負担となるのは家づくりにかかる費用である。家は大型の買い物であることから、多くの人はローンを組むことになる。しかしながら、その家づくりで伴ったローンの支払いには、下手をすると何十年とかかることもある。そのため、家は一生うちでもっとも高額な買い物の一つである。
多大な費用を要するために、建ててしまった後に失敗したと思いたくはない。失敗したと思いたくはなくとも、ここはこんなはずでは…、などと後悔することもしばしばである。あれほどお互いに意見を交わして、完璧な設計だったはずなのにと思えども、いざ居住すると設計時のイメージと生活時のイメージのギャップに多かれ少なかれズレが生じる。しかしながら、高額な買い物であるために買い直すこともままならず、そこは我慢せざるを得ない。月々のローンの支払いも否応なしに生活費に圧し掛かる。
一般的には、家づくりはそう何度も経験することない。建築する側の立場であれば、何度も経験する機会はあるものの、施工してもらう側は、ほとんどが1回となるであろう。よく家づくりに関して「一生のうちに三回建てなければ満足するものが出来ない」 と言われるが1)、多くの人は新築で1回目、リフォームで2回目となり、これを経験値として見ると、新築1、リフォーム0.3~0.8ほどとなり、せいぜい1.3~1.8回レベルの経験になるであろうか。すなわち、多くの人の家づくりは、「一生のうちに1.3~1.8回建てたが未だ満足するものが出来ない」となる。
それでは、人生のわずか1.3~1.8回の経験しか得られない家づくりを次に生かすためには、何を基準に家づくりを進めればよいのであろうか。
生活すると問題となるのは、家の掃除である。家自体の耐久性はさておき、家の掃除はそれとは関係なく行わなければならない家守りの儀式でもある。ヤモリも家は守るが、残念なことにヤモリは掃除には関心がない。
意外と昔からある古い家は気密性が低いものの、風通しも多いために思ったよりもほこりなどのゴミは目立たない。しかしながら、現在の家は非常に気密性が高いため、ほこりがたまりやすい上に、カビも生えやすい。エアコン等の効きはさすがに気密性が高いことから快適ではあるが、気密性の高さから、ほこりがたまりやすい、カビが生えやすいでは、どんな素敵な家を建てたとしても、リフォームもおのずと早くなる。
間取りや収納に関しては、前もって3Dマイホームデザイナーなどによって自分で確認することも可能である。また、ほこりに関してはルンバに適した家構造にすることで2)、ルンバに掃除を任せることもできるかもしれない。しかしながら、カビに関しては気密性と風通しとのトレードとなる。日本の風土に適した昔ながらの家がいいのか、それとも現代的な家がいいのか? この辺が今後の家づくりのキーとなる。
1) http://liebenhome.blog99.fc2.com/blog-entry-112.html (閲覧2015.11.25)
2) http://fmj-jp.info/?p=6659 (閲覧2015.11.25)