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題名:縁側でお茶を飲むという行為
報告者:エゲンスキー

 縁側は日本の古い家屋によく見られ、庭と家の境にあり、段としても機能し、廊下としても機能する空間である。Wikipediaによると1)、日本の和風家屋の独特の構造で、家の建物の縁部分に張り出して設けられた板敷き状の通路とされている。しかしながら、これをただの通路だけとみなす人は少ないであろう。そこに縁側の不思議さがある。その縁側は、由緒正しい日本の古い家屋には必ずあるため、日本を代表する庭園にはその家屋と庭園の素晴らしさを象徴するかのごとく、見栄えのある縁側があることが多い。図は海外で出版された代表的な日本庭園の本(海外出版のため、日本では著名でない庭も掲載されている)であるが、ここにも立派な縁側が見てとれる。図のうちわが置いてある場所が縁側である。ここでは丁寧にお茶も置いてある。見て分かる通り、庭と家の境界部分に存在する。
 ヒラメやカレイの背びれ・しりびれの付け根にある肉も縁側という2)。付け根と言う部位から採取できる量も限られているため、その淡白な白身は寿司屋では貴重な・高価なネタでもある。しかしながら、こちらの縁側は、庭と家のように内と外とを隔てるような建築様式からの名の由来ではなく、あくまでも骨による波模様の形状が、家屋の板敷きに見立てたようである2)。言い換えれば、ヒラメやカレイの縁側が食材として成り立つ前に、すでに建築上では縁側が存在していたことにもなろうか。

Fig

図 海外出版の日本庭園本の縁側3)

 一方、縁側と同じくして日本独特の文化風習にお茶がある。文化としてのお茶は、茶の湯と呼ばれ、茶の聖人と言われる千利休を境に、当時は日本の造園業とともに著しく発展した。むろん茶室も庭園に含まれ、代表的な日本庭園はその当時に造られたものが多い。ただし、当時の世相を考えると、一般民衆の家屋に広い庭はなく、簡単に茶室を設けることができなかったに違いない。そのない茶室の代わりに、縁側でお茶を飲むという行為が日常的になったのであろうか。現在の家屋は縁側が少ないため、そこでお茶を飲むという行為はほとんど見られなくなったが、まだ古い日本の家屋が残る地方では、農作業などをした後、縁側でお茶を飲み、菓子などをつまみながら、近隣の人と話しているという光景は、日本人であればすぐに目に浮かぶであろう。それほど、縁側とお茶の関係は日本人にとっては根深いものがある。
 縁側で庭を眺めながら、お茶を飲む。これを科学的に検証すると、緑を眺めることは精神に安らぎを与え、また、お茶に含まれるカテキンは抗酸化作用があり4)、その作用は肉体の本来の機能を低下させない働きがある5)。そのため、縁側でお茶を飲むという行為は、精神的にも、肉体的にもよい効果を与えることが理解できる。これに隣人との会話が加わることで、個体だけではない各個体間での相乗効果が生じることも示唆される。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/縁側 (閲覧2015.10.15)
2) http://gogen-allguide.com/e/engawa.html (閲覧2015.10.15)
3) メッタ, ギータ: Japanese Garden. チャールズ・イ・タトル出版, 2009.
4) http://www.mit-japan.com/ndl/ndl/GreenTea.htm (閲覧2015.10.15)
5) http://www.jsa-site.com/about_kousanka.htm (閲覧2015.10.15)



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