題名:スパゲッティ・ナポリタンに潜む不思議
報告者:トシ
ナポリはイタリア南部にある都市であり、ローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市で、南イタリア最大の都市でもある1)。一方、スパゲッティは、パスタのひとつで、その語源は「ひも」を意味するイタリア語 spago に由来している。特にパスタの中でも太さが2mm弱のものをスパゲッティと言われている2)。なお、それよりも少し太い2mm強のものをスパゲットーニ、それよりも少し細い1.6mm前後のものをスパゲッティーニ、さらに細い1.3mm~1.5mm程度のものをフェデリーニ、1.2mm未満のものをカペッリーニと分類されている2)。かつてはこのような各種パスタが日本では販売されていなかったため、パスタすべてをスパゲッティと呼んでいたが、今ではイタリアン(料理)も一般的になったことから、ある程度は分類されている。
スパゲッティ・ナポリタンは、その名からナポリ生まれのスパゲッティと勘違いされやすい。しかしながら、日本生まれのスパゲッティであることは、ご存知の方も多いと思われる。この日本生まれのスパゲッティにはその起源に2つの説がある3)。一つは、アメリカのミートボールスパゲティのミートボールの代用としてウインナー(ハム)を使い、さらにケチャップを使ってアレンジした、というもの。もう一つは、イタリアのトマトソースを使った料理法が日本流に変化し、トマトソースの代わりにケチャップを使ってアレンジした、というものである。しかしながら、最も説得力のあった説は、次の通りである。イタリアのパスタの産地であるナポリを発祥として、アメリカ大陸で育ったトマトをソースとして和えるパスタ料理が、フランスに伝わり、フランスで言うナポリ風スパゲティ(スパゲッティ・ナポリテーヌ)を元に、日本に本格フレンチを教えたフランス料理シェフが伝承したスパゲッティ・ナポリテーヌが、日本人の耳にはナポリタンとなった4)、である。すなわち、スパゲッティ・ナポリタンはイタリアからアメリカ、フランスへと世界をめぐりつつ、最後にこの日本にてスパゲッティ・ナポリタンと称して輝かしい日本の洋食の代表として収まったのではないだろうか。この時代の背景を探ると、特にアレンジの主役となったケチャップに関しては、1957年のカゴメが広口瓶での販売をきっかけに売り上げが増え5)、その前の1956年は、洋食が近代的で望ましい食とされていたことが分かった6)。このことからも、ケチャップの発展とともに、スパゲッティ・ナポリタンは目覚ましい洋食界の地位の獲得に向けて、近代的な、洋食イメージのある、スパゲッティーな、ナポリターンな、日本人にマッチする、として、広まったに違いない。近年では様々なトッピングも施され、カロリーを度外視すると、
スパゲッティ・ナポリタン + やわらかハンバーグ + ふわふわたまご
がスパゲッティ・ナポリタンとの相性の良い最強の組み合わせである(ただし、根拠はない)。これを想像すると、誰しもがよだれ流出率も最強となるであろう。おいしさの記憶とは実に恐ろしい。
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/ナポリ (閲覧2015.9.16)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/スパゲッティ (閲覧2015.9.16)
3) http://kazsomeya.jimdo.com/よもやま話/ナポリタンとカルボナーラの語源のお話/ (閲覧2015.9.16)
4) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/14149/ (閲覧2015.9.16)
5) https://ja.wikipedia.org/wiki/ケチャップ (閲覧2015.9.16)
6) https://ja.wikipedia.org/wiki/洋食 (閲覧2015.9.16)