題名:足りない者
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.2095の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
そうして破綻している「何かが変わってしまった」先の物語を再読しつつ、もう文体の推敲など自己の事故で出来はしない。遂行したくとも推敲できないその稲作状態にまさに、天変地異の変化が起こりつつある廊下の掃除の後の私のようだった。そして、その物語の流れは自らの才能のなさを痛感させ極度に肉体的にも精神的にも私を疲労困憊させていた。
掃除後に正直に妻妙子に少し休むことを伝えた。そして、すぐさまベッドに横になった。疲れ果てた体を寝具に横たえた。暖かく迎える寝具に目を閉じ、今日までに起こった様々な人生の出来事を振り返った。
集中豪雨、地下浸水、ワクチン、感染対策、新型コロナウイルス、あおり運転、放射能、洪水、地震、雷、火事、親父。家事に嫁妙子、義理の父岩倉武雄、医科大学、恋人ジェニファーとの別れ、ポンヨウトニーとの起業、スタンフォード大、アメリカ時代。その駆け巡る走馬灯は、すべてが睡眠に入る前の夢の発端となった。追い打ちをかけ、八度まもるの症状を回想し、そして田所治は、私の夢魔となって、寝る前の私を攻め続けた。
そう、当時の僕に足りなかったのは、Amazon.comの勢いだったのだ。
かつてパーティで出会ったジョフ・ベソスのセリフのことを思い出した。そういえば、パーティでジェフと初めて握手したあの時、ジェフは僕に向かってこういった。
貴様は「文が外れていないことに気付いてないのか? もし気付いてないなら、外れてるよりもっと悪い」
と。それは「セッション」において鬼コーチ、フレッチャーたる役柄のJ・K・シモンズが発した言葉でもあった(ただし、「セッション」においては「」内のセリフの”文”は”音”です)。僕はジェフからこの言葉をもらい、自分にとって何が足りないのかを、今現在の夢心地の中で推考した。
この文が「ズレているのはお前だ!ヒデーィキ。だが自覚のなさが命取りだ。」
(ただし、「セッション」においては「」内はセリフは”ヒデーィキ”ではなく”エリクソン”です)。
そうだ。そこで僕は眠気眼でスマホをチェックし、そこに届いていたいくつかの職務的な連絡は頭から無視し、Amazon.comのAmazon Primeを見直した。
何が大事で、何が僕に足りないのかを。
そして、そこにあったのは、何十年経った後にまるでタイムトラベラーの如くとある解「トゥモロー・ウォー」だった。それを観ながら、あれっ、知っている人が出ていることに気づいた。この人は…。あれっ、J・K・シモンズ…。「セッション」の鬼コーチ。
「ねぇ、ジェニファー。当時の僕には何が足りなかったのかな?」
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