題名:愛の秩序
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.1949の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
ごきげんだったにもかかわらず、ゴキが現するように揶揄された。カサコソとそこら中に現れるゴキに僕の心は洗われた。
(そうだ、僕はシズコを愛している。でも、クミちゃんの子ども、それは僕の子でもあったが、なぜだか求めていた。なんでだろうか。結という血と縁の契約を交わしても、汚れた血を求めるのはなんでだろろうか)
気がつくと、台所に現れるゴキと同じように、自然とそこにそれは洗われる。レオスだ。カラックスだって。
(そうだ、僕は、彼女(クミちゃん)のことを愛しているんだ。シズコと同じくらいに。そう思えた。だから、契約って何だろうか。ゴキって何だろうか。結婚したら、もはや誰に対しても、愛という感情を抱いてはおかしいのか)
(そうじゃない、そこには契約があるんだ)
(でも、愛は、契約なのか?)
(そうじゃない。そうでもしないと、秩序が保たれないんだ)
(秩序?)
(そうだ。確かに、君は、シズコという伴侶の他に、クミちゃんを愛した。結果として、子をもうけた。それが本当かどうかは私には興味がない。でも、それは、間違いなく秩序を、間違いなく秩序を乱す行為だ)
(でも、愛するって、契約なのか?)
(そうじゃない。でも、それがないと世界中で愛の秩序が乱れてしまう)
(愛の秩序?)
(そうだ、例え、誰かを好きになっても、子は、子だ。子は、間違いなく、子だ。それが、秩序だ)
(僕には、それが分からない)
誰彼ともなく、誰かと意見を交わし、僕は神に誓った。確かに、シズコは妻だ。でも、それ以上、誰も愛してはいけない。それは真実なのだろうか。真実なのだろうか。僕は彼女の面影を消すことができなかった。
身も心も寒くなると、不思議と求めてしまう。
それは、彼女には契約されていない魅力があるから、それも何か運命的な繋がりで感じられたからだ。